ベビーカー販売台数は年間60~70万台程度と推定され、需要は少子化等の影響により減少傾向にあるものの、日々新しい製品が発売されています。
比較サイトなどでは値段やデザイン、重量、大きさなどのポイントが整理されていますが、「自分はどれを選べばいいんだろう?」という状態の人も多いのではないでしょうか。
この記事は購入の具体的検討に入る前に知っておいてほしい、歴史やライフスタイルとの関係、首都圏の育児中のママ1000人に実施されたアンケート調査結果などの情報をまとめました。
ご自分に合った製品を選びやすくなると思うので、ぜひ目を通してみて下さい!
日本でのベビーカー普及の歴史
19世紀の中頃にヨーロッパで製品化が始まったベビーカーが、日本に輸入されたのは明治12年(1879年)頃だそうです。
戦後の道路舗装率の向上や、2000年以降のバリアフリー化の上昇によって都市部を中心に普及が進んだと考えられています。
私は海外ボランティアに参加してアフリカで生活したことがありますが、街中で見かけたことは1度もありませんでした。
風習の違いもあるでしょうが、道路舗装が進んでいない、あるいはバリアフリーの文化が浸透していない場所では普及しづらいため、という側面もあると思います。
日本の道路舗装率やバリアフリー化の進み方は世界でもトップクラス。
近年はただの道具ではなく、その人のライフスタイルやファッションの一部だと言えます。
ベビーカーの実態調査
『乳幼児運搬用具の利用実態に関するー考察』という文献では、企業担当者へのヒアリングと国産大手メーカー二社のカタログデータに基づいて、ベビーカーの変遷が書かれています。
また、首都圏を対象に実施した育児の実態アンケート調査データを用いて、保有状況や利用実態についての集計分析した結果が報告されています。
以下にポイントをまとめます。
重量の推移
国内メーカー大手二社の製品の重量を分析した結果によると、A形(赤ちゃんを寝かせて使えるタイプ)は1993年に約7.0kgだったものが、2009年には約5.0kgまで軽量化が進んでいます。
対して、B形(赤ちゃんを背もたれによりかけて座らせるタイプ)は、1993年に約3.0kgだったものから2009年には約4.0kgへと増加しています。
参考:A形とB形の違い
A形(赤ちゃんを寝かせて使えるタイプ)は、主に赤ちゃんが小さい間の使用を想定していると考えられ、しっかりとした作りで重くなるのは仕方がないことですが、なるべく「軽い」ものをユーザーが重要視し、メーカーもそれに応えて開発を進めたものと考えられます。
B形(赤ちゃんを背もたれによりかけて座らせるタイプ)は、子供がある程度大きくなっても使いたいというユーザーの意思が尊重され、メーカーは「軽さ」以外の要素が重視して開発を進めた結果だと推察されます。
首都圏のママが重視したポイント
首都圏の育児中の母親1000人を対象とした育児アンケートによると、購入時に重視した点は次のような順でした(神奈川県の例)。
- 値段
- 色・デザイン
- メーカー
- 軽さ
- 乗心地
他の県もほぼ同様の傾向で、1位は「値段」で変わりません。
ただし、東京都だけ1位は「色・デザイン」で「値段」は3位です。
つまり、平均年収の高い東京都はファッション性が値段よりも重視された結果です。
車の利用可否
上と同じ育児アンケートによると、車を持っているかどうかに関わらずベビーカーの普及率は約9割となっています。
利用頻度は、車を持っている人は平均して週に3回、車を持っていない人は平均して週に4回と差があります。
ベビーカーの選び方
上の章では育児アンケートによる実態調査の内容を要約しました。
再度まとめると、
- メーカーは、赤ちゃんが小さい間に使うことを想定したタイプの軽量化を進めてきた
- メーカーは、子供がある程度大きくなっても使うタイプについては「軽さ」以外も重視してきた
- 首都圏の育児中ママの選び方は、「値段」「色・デザイン」「メーカー」「軽さ」「乗り心地」の順
- ただし平均年収の高い東京都だけは「色・デザイン」が1位で「値段」は3位という選び方
- 車を持っている人の使用頻度は週3回
- 車を持っていない人の使用頻度は週4回
という結果でした。
では、私自身の選び方はどのようだったか紹介します。
私は8歳の双子の父で、育児を通して2台を乗りつぶしましたが、思い返すと2台ともおおむね満足のいく働きぶりで、しんどい双子育児を助けてくれました!
双子が1歳くらいまでCombiの横型(頂き物)を使い、1歳以降はエンドーの小型バギーを使いました。
選び方の前に、マイカーについて触れておきたいと思います。
その前に車の検討を
国土交通省から、次のような報道発表がされています。
乗り合いバス車内では二人乗りベビーカーを折りたたまずに使用できるよう取り扱うことを基本とします!
~乗合バスにおける二人乗りベビーカーの利用についてとりまとめ~
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo09_hh_000235.html
電車やバスでの理解が進みつつあるとはいえ、インフラ面でも市民感覚としても、双子の親がストレスなく公共交通機関を利用できるような環境にはほど遠いのが現実です。
都市部にお住まいの方は主に公共交通機関を使って生活されている方が多いと思ますが、双子育児の武器としてのマイカー(あるいは育児中のみリース)は、一度しっかり検討していただきたいです。
マイカーを持つには初期投資と維持費が必要で、ペーパードライバーの方は再講習も必要になるでしょう。
しかし、双子育児をするうえでマイカーはこれらを補って余りある武器になるので、一度電卓をたたいてみて欲しいのです。
赤ちゃんが小さい間だけ使うもの
我が家の場合、双子育児サークルで知り合った先輩ママ様から譲り受けました。
約7年前の製品だったようでレトロ感あり、タイヤもすり減っていて少し不安になりましたが「コンビ」というメーカー名をたよりに割り切って使ったものです。
実際に強度や安定性は抜群でしたが、重くて取り扱いは少々大変でした。
平均して週3,4回の使用があること(ほとんど妻が一人で扱うこと)を考えると、軽くて小回りの利くものを買ってあげるべきだったかな、と反省はあります。
妻がよくグチっていたのは、近くの商業施設のエレベータの幅が狭いためタイヤをゴリゴリ当てながらじゃないと出入りができず、エレベータに乗っている人に迷惑をかけることでした。
このような事がないよう、生活圏内でどこが一番狭いかを良く調べてから購入することをお勧めします。
安全については「SG基準」に適合したものを選んでください。
子供がある程度大きくなっても使うもの
我が家では双子の腰が据わってきたころから、小型軽量のものが欲しいと思うようになり、軽量バギーを購入しました。
しばらくはコンビの1台目と併用し、しっかりと歩けるようになってからはバギーのみにしました。
購入したバギーはエンドーのツインバギーで、今でも人気商品のようです。
値段は1万円程度でシンプルなデザイン、コンパクトで小回りが利き、とても扱いやすかったです。
リクライニングはできませんが、寝るときは寝ます!
子供は歩けるようになっても、歩く時間は少しだけ。
すぐに疲れて歩くのをやめたがります。
そういう意味でもエンドーのツインバギーは長く使えたので満足しています。
なお、バギーはSG基準に適合していない場合があるので、あくまで休憩用と考えて、疲れて歩かなくなったらさっさと帰宅できるように、柔軟な外出計画を立てることも大事だと思います。
まとめ
実態調査によると、
- メーカーは、赤ちゃんが小さい間に使うことを想定したタイプの軽量化を進めてきた
- メーカーは、子供がある程度大きくなっても使うタイプについては「軽さ」以外も重視してきた
- 首都圏の育児中ママの選び方は、「値段」「色・デザイン」「メーカー」「軽さ」「乗り心地」の順
- ただし平均年収の高い東京都だけは「色・デザイン」が1位で「値段」は3位という選び方
- 車を持っている人の使用頻度は週3回
- 車を持っていない人の使用頻度は週4回
という結果でした。
電車やバスでの理解が進みつつあるとはいえ、インフラ面でも市民感覚としても、双子の親がストレスなく公共交通機関を利用できるような環境にはほど遠いのが現実です。
双子育児の武器としてのマイカー(あるいは子供が小さい間だけリース)は、一度しっかり検討してください。
選び方としては、赤ちゃんが小さい間に使うものは、
- 軽くて小回りの利くもの
- 生活圏内で行く場所で通れない場所が無いよう
- SG基準を満たした安全性の高いもの
子供がある程度大きくなっても使うものは、
- 子供が歩きたがらない時の休憩用と考えて
- シンプルで扱いやすいもの
という選び方がオススメです。